
AINEX HDM-39 5インチベイマウンタレビュー
ミニマル、そして各部に設計者の強いこだわりが見て取れる製品
5インチベイのスペースを持て余してはいないだろうか?
スペースを有効利用できないのは気分が悪いものだ

さて、どこから話せばよいものか....そうだな....ATX以上のケースでは5インチベイが余りがちではないだろうか?最近では5インチベイを搭載していないケースもあるが、やはりある程度大きなケースには取り外せない5インチベイが付いている場合が多いように思う。私はこのようなビルドを組んでいたが、使っている3.5インチベイは6つ中3つ。1台がHDDで他2台がSSDである。5インチベイに至っては何にも使っていない。悲しいほどにスカスカなのだ。5インチベイを使っていないことも無駄であれば、着脱式の3.5インチベイのケージをつけていることもまた無駄であるといえる。そこで、マウンタを用いて5インチベイにHDDとSSDを格納してしまえばいいと思うに至るのは必然であろう。しかしながら、私はこのビルドを組むときに3.5インチベイにポンプを固定してしまったので実現できずにいた。この程、ポンプの位置を移動したのでかねてからの計画を実行に移したのだった。
目に留まったのがAINEX HDM-39
ミニマルに収めましたと言いたげな容姿がなかなか良いのだが....
1000円程度ということもあってか、薄くて柔らかいプラスチックでチープさが漂っている。フロントパネルは艶ありの化粧板になっているものの、もちろん期待を裏切らないチープな仕上がり。また、オープンベイを塞ぐためのカバーは少し押しただけで内側に入り込んでしまうちゃちな作りで、チープとは何かについて我々に教授する。ただチープな雰囲気を醸し出すだけでなく、実際に一つ一つの要素が全てチープなのだ。もし皆さんがこの製品を実際に手にする機会があれば、設計者の妥協のなさに畏怖の念さえ覚えることであろう。当然包装もチープであり、一切の抜かりや慢心がない。まさにチープの体現者であるといえよう。私はこの製品を見れば見るほどに、細部にまでわたりこだわり抜かれた作りに崇敬の念を禁じ得ないのであった....さて、ふざけるのはこのくらいにしておいて各部をチェックしていこう....

5インチベイに2.5インチデバイスを2台と3.5インチデバイスをコンパクトに搭載できる。2.5インチデバイスは樹脂の反発力を使ったツールレス固定方式だ。

3.5インチデバイスはサイドをスクリューで固定する一般的なもの。なお、防振加工などは一切されていないので、HDDの使用は勧められない。

マウンタ本体とデバイスの端子部分にはほとんど隙間がない。使用しているケーブル次第では取り付けられないこともありそうだ。
さっそく組み込んでいく
すんなり組み込めた精度に問題ないようだ
この製品ならば5インチベイのカバーをしたままとりつけても、ベイからマザーボード側にはみ出さないと思ったのだが....考えが甘かったようである。
早々にカットした
5インチベイのカバーをつけたまま設置できないのでカットした。オープンベイとして使うことが前提の製品だから当然といえば当然だが....カット自体は簡単で刃の厚い金鋸でも簡単に切り取ることができた。

作業は簡単に終わったかのように思えた
待っていたのは驚異的なシークノイズ、発狂レベルの大音量だ
正直に言うと静かではないだろうと予想してはいたのだが....まさかこんなにうるさいとは想像できなかったのだ。その音量たるや、床にHDDを直置きしているかのようである。900Dは19kgもあるケースであるし、このマウンタも樹脂製だからそれほどの共振音は起きないだろうという希望的観測を持って臨んだ自分の甘さを痛感することとなった。しかたがないので少々面倒だが防振加工をすることに。
防振加工を施した
いろいろと防振の方法を考えたが、面倒だったり、材料が足りなかったりで簡単な方法を取ることにした。2.5インチ側に穴を4つ空けゴム板を挟んでHDDを固定。そのままではネジ頭が飛び出してしまうので皿ネジをつかい、穴には座ぐりを入れた。
安価な工具だが
工具というのは一通り揃えておくとできることに随分と幅がでる。私の使っているドリルドライバーは3000円の安物だし、ドリルセットは1500円程、座ぐりに使った面取りビットも400円位だ。しかし、持っていいるだけで想像が膨らみ随分楽しめるものだ。私は大したことをしていないので偉そうなことは言えないのだが。

5インチベイにHDDといえば氷室だ
氷室はきっちりベイに収まらない。それは思い違いに過ぎなかった
これは完全なる吉報であるが、同時に悲報でもある。今までの防振工作が全くの無に帰すからだ。いくら、防振対策をしたといってもHDDをアルミの箱で完全に覆う氷室の静音性に遠く及ばないのだから。たしかに、HDM-39には2.5インチデバイスを搭載できるアドバンテージがある。ただ私のケースのようにスペースに余裕があるのならSSDなどその辺に両面テープ貼ったり。氷室の近くに転がしておけばいいだけだ。この事実によりHDM-39は私の中で完全にガラクタと化してしまった。
安定のScythe製品
アルマイトされた重厚なボディーを持つScytheの氷室。本体を支えるのは大型のゴムダンパーであり、これにより共振を抑え込んでくれる。ずい分前に1500円程度で購入したような記憶がある。良いものを安く提供しようという、メーカー側の意気込みが感じられる逸品である。なお、現在は生産終了しているようなので欲しい方はお早めに。
しっかりと収まる
このような事態が想像できただろうか?思慮深ければ容易にできただろう。マウンタを探し始めたまでは良かった。しかし、HMD-39を見つけた時に自分の望んでいるすべてがあるかのように錯覚してしまったのだ。想像力が欠如していたとしか言いようが無い。
この内容で1000円以上は強気すぎではないか?
コンセプトは良い製品だとは思うのだ....
製造コストを最小化した製品。それこそが基本コンセプトであり、設計者の強いこだわりなのだというのが私の感じたところだ。コンセプトは悪くない、しかし問題なのはこれを1000円以上で売っていることだ。コストを浮かせたのならユーザーに還元すべきではないだろうか?そうでないのならもっときっちりとした製品づくりをしてほしいものだ。確かにニッチな製品というのは値段が高くなりがちである。それを考慮に入れたとしてもこの製品はどうだろう?キューブ型PCやITX以下の窮屈なケースで5インチベイを持て余しているユーザーなら喜んで購入するような類の製品なのではないだろうか?つまりは、自作PCのパーツ市場自体がニッチだととしても、その中ではとりわけニッチ製品だとは言えないと思えるのだ。これらのことから、この製品に2.5または3.5インチHDDを搭載して運用しよう考えるユーザーはそれほど少なくはないことは想像に難くない。公式HPの商品紹介ページで2.5インチHDDを2台搭載している写真を見ればなおさらである。しかし、もしHDDを搭載してしまったのであれば、よほど騒音が気にならない人以外は後悔することは確実である。私はこの製品とHDDの間に2mm厚のゴムを挟む改良を施したことで大幅に共振音を防ぐことに成功したが、一体どれほどの人がそこまでしてこの製品を使い続けるであろうか?ほんの少し追加コストをかけて防振処理をしていれば大幅に汎用性が上がるにもかかわらず、この製品にはそういった努力が一切見て取れないのだ。当然、メーカ側としてもHDDの仕様は十分に想定しているであろう。それにもかかわらず防振をしないというのは怠慢以外の何であろうか?以上の点を鑑みれば、この製品をすすめられるユーザー層というのはチープな外見が気にならず、3.5インチオープンベイを必要としていてHDDを搭載する必要がなく、5インチベイが余っている上に、それ以外のケース内スペースが殆ど無いというごく限られたユーザーだけであろうか。
当初の目的は達成できたのだから良しとしよう
HDM-39がその後どうなったのかについては考えないでいただきたい
結果的には5インチベイを有効活用し、無駄に場所を占有していた3.5インチベイ用のケージを取り除けたのだからこれはこれでよかったのだろう。それに氷室の存在を思い出すことができたのも、HDM-39のおかげだ。厳密に言えばHDM-39に装着したHDDのシークノイズで思い出したのだが....3.5インチベイがなくなったので、大幅に構成を変えることができた。できたのだが....今度はこの妙なチューブの取り回しが気になってきた。困ったものだ....

Flicker Mane My Little Pony: Friendship Is Magic
casemod ロゴプレート 自作 作り方 水冷PC
Rarity Nurse Redheart Ainex HDM-39